インフルエンザB型が増えている今、年配の方に知っておいてほしいこと
医療コラム
この時期、「インフルエンザがまた増えている」というニュースを目にした方も多いと思います。実際に、2026年2月1日までの1週間で、全国の定点医療機関あたりの患者報告数が30.03人となり、前の週から1.8倍に増えて「警報レベル」を超えたと報じられています。年末はA型が中心でしたが、最近はB型の感染者が増えている点も注意が必要です。
インフルエンザB型って何が違うの?
季節性インフルエンザは主にA型とB型が流行を起こします。B型はA型のように「亜型(H1N1など)」には分かれませんが、系統(系統群)として分類されることがあります。
大切なのは、「B型だから軽い」と決めつけないことです。体力のある方は数日で回復に向かうこともありますが、高齢の方や持病のある方では、肺炎などを合併して重症化することがあります。
どんな症状に気をつければいい?
感染してから症状が出るまで(潜伏期間)は、おおむね1〜3日程度とされています。
主な症状は、発熱、強いだるさ、頭痛、筋肉痛・関節痛、咳、鼻水などで、一般的なかぜよりも全身のつらさが強く出やすいのが特徴です。
また、症状が出る前日から発症後しばらくは周囲にうつしやすく、発症後5〜7日ほどは感染力が続くことがあるとされています。
年配の方ほど「典型的じゃない」ことがあります
ここがとても大事です。高齢の方では、若い人のような分かりやすい症状(高い熱や強い咳)がそろわず、発熱やだるさだけ、あるいはいつもよりぼんやりする(意識がはっきりしない)といった形で始まることがあります。回復にも10〜14日ほどかかり、体力が落ちて日常生活動作(ADL)が下がるきっかけになることも指摘されています。
「ただの疲れかな」「年のせいかな」と我慢せず、早めに相談できると安心です。
受診の目安(迷ったらここをチェック)
次のような場合は、できるだけ早めに医療機関へ連絡・受診をおすすめします。
- 息苦しい、胸が苦しい
- 水分がとれない/食事がほとんど入らない
- ぐったりして動けない、反応が鈍い
- 高熱が続く、または熱がなくても急に具合が悪い
- 心臓・肺・腎臓・糖尿病などの持病がある/高齢者施設を利用している
高齢者や基礎疾患のある方は、合併症(肺炎など)で悪化しやすいことが知られています。
予防の基本は「シンプルだけど効果が大きい」対策です
厚生労働省も、流行期の基本対策として手洗いとマスクを含む咳エチケットを挙げています。特に、医療機関の受診時や、高齢者施設など重症化リスクの高い方がいる場所を訪れるとき、混雑した場所に行くときは、マスク着用が効果的な場面として推奨されています。
今日からできる工夫
- 帰宅したら、まず手洗い(指の間・親指の付け根も丁寧に)
- せき・くしゃみが出るときは口元をおさえる(できればマスク)
- 室内は乾燥しすぎないようにし、こまめに換気
- 人混みの予定は「必要最低限」にして体力温存
- 同居のご家族がいる場合、タオルやコップの共用は避ける
ワクチンは「かからないため」より「重くならないため」に
インフルエンザワクチンの大きな目的は、発病予防に加えて重症化を防ぐことです。厚労省のページでも、ワクチンは感染そのものを完全に防ぐものではない一方で、重症化予防が重要なポイントとして説明されています。
「打ったのにかかった」ことがあっても、打っていたことで重くならずに済むケースは少なくありません。
治療薬は“早め”が鍵!
インフルエンザは抗ウイルス薬で治療することがあります。一般に、発症から時間がたってからの開始では効果が十分でない可能性があるため、早めの受診・相談が勧められます。
「様子を見て数日たってから…」より、体調が明らかにいつもと違うときは、早い段階で医療機関に連絡して方針を決めるのが安心です。
堀田 史健
所属学会・専門医・資格
- 医学博士