パーキンソン病 DBS治療

パーキンソン病に対するDBS治療について

パーキンソン病は、大脳の下にある中脳の黒質ドパミン神経細胞が変性脱落し、振戦(ふるえ)、動作緩慢、筋強剛(筋固縮)などの運動症状をはじめ、便秘や嗅覚障害、 起立性低血圧 (立ちくらみ)など様々な症状をきたす疾患です。いろいろなことがわかってきており、症状を改善させる治療法も次々に開発されています。しかし、根本的な治療は未だなく、症状を改善するのに最も強力な薬物療法としてドパミン前駆物質のL-ドパ(レボドパ)が使用されます。しかし、使用が長くなるとL-ドパによる運動合併症が起こる問題点があります。ウェアリングオフという現象は、薬の改善効果が長続きせず、次に飲むタイミングまで薬がもたなくなり、動作が緩慢になったり、ふるえがきたりしてしまいます。また、ジスキネジアという現象は、L-ドパが効いている状態で、四肢をくねくね動かす、体幹を前後にゆらすなどの不随意運動が出現します。これらの運動合併症で日常生活に問題となる場合、様々な薬を組み合わせたりしますが、薬物療法のみで症状のコントロールが難しくなった場合、次の治療法として手術療法が考慮されます。

パーキンソン病の手術療法は、意外に思われるかもしれませんが、L-ドパよりも長い歴史があります。近年、脳を破壊せず、より安全に治療ができる脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation; DBS)が開発されました。DBSは、脳の深部を電気刺激して、その部位の機能を調整して症状を改善させる治療法です。パーキンソン病では通常、両側の視床下核または淡蒼球に刺激電極を、前胸部に刺激発生装置を埋め込み、それらを皮下でつないで刺激を行います。日本では2000年4月から保険適用が認められ、これまでに約1万人以上の患者さんが治療を受けています。DBS治療は特殊な技術や設備を要するため、治療できる病院は限られています。

写真提供 ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社

当院では、脳神経外科の梅村医師(順天堂大学 運動障害疾患病態研究・治療講座 特任教授)が、脳神経内科医と綿密に連携しながらDBS手術を行っています。大病院ではありませんが、手術のために専門スタッフが集まり、手術室、麻酔科なども含め安全に手術ができるようにチーム医療の体制を整えています。また、術後は薬の調整とともに電気の調整も必要となり、リハビリテーション科も関わりながら、病院の特色をいかし、こまめな連携体制でサポートいたします。

DBSは技術の進歩とともに飛躍的に使いやすくなっており、従来の電池式に加え、充電式の装置も開発されています。また、1つの刺激発生装置で両側の刺激が可能となり、患者さんへの負担も軽減されるようになりました。DBS手術について詳しく話が聞きたいという方、お気軽にご相談ください。紹介受診も受け付けております。

担当医師

梅村 淳 【非常勤】

・順天堂大学 運動障害疾患病態研究・治療講座 脳神経外科
・パーキンソン病および不随意運動症の外科的治療

<所属学会・専門医・資格>
・医学博士
・日本脳神経外科学会/脳神経外科専門医/評議員
・日本定位・機能神経外科学会/機能的定位脳手術技術認定医/理事
・日本パーキンソン病・運動障害疾患学会 など

パーキンソン病・本態性振戦への脳深部刺激療法 個別相談会のご紹介

実際の担当医師がパーキンソン病・本態性振戦への脳深部刺激療法の概要、効果などについてわかりやすく説明する個別相談会を行います。

新聞掲載記事

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